215号(201508) リストに戻る

複合的なギリシャ危機

 八月に入っても猛暑日が続き、(北海道とても例外ではなく)各地で観測史上まれな高気温が記録されるなど、いつもよりいっそう暑い夏となっています。くれぐれもご自愛ください。

 さて、ギリシャが再び世界金融危機の発源地になりかねないと危惧される中、改めてギリシャ人の国民性(気質)に関心が高まっているようです。公務員が多い(労働人口の1/4)ことで有名なギリシャは、「公務員天国」と揶揄されるほどです。バルカン半島の先端に位置し、地政学上も重要なこの国は、第二次世界大戦終了直後から、左派と右派の間で内戦が繰り返され、国民に相互不信や対立感情を根深く残し、左右両派の綱引きで不安定な政情が続いてきました。選挙のたびに公務員が増え、大衆迎合主義の政治家や公務員が赤字を垂れ流し、国庫財政も悪化していった、と言われています。そんなギリシャ人気質を描いた映画としては、メリナ・メルクーリ主演の『日曜はダメよ』が主題歌とともに有名ですが、"西洋的なモラル"を押しつけようとしてもヒロイン(娼婦役)にも通用せず、到底"ギリシャ人の気質は矯正できない"、ということを象徴する作品だったような気がします。
 ところで、"今日のギリシャ問題の本質"(一国の経済力とその通貨価値とのギャップがもたらした経済危機(第一の危機)とギリシャの固有事情(第二の危機)等の複合的な危機)に関する興味深い論考がありましたので、要約してお伝えします。

...ギリシアがヨーロッパ中いや世界中の批判を浴びている。EUやIMFが、財政緊縮策さえ受け入れてくれれば金融支援を延長してやる、と誠意を見せて言っているのに国民投票で拒否するなんて、…とんでもない連中だ。…(特にドイツ人からは)「どうして俺達か汗水たらして働いた金で、自堕落に遊び回っているギリシア人の面倒をみてやらなくてはいけないんだ!」… 本当にそうなのだろうか。…債権国の処方籤が誤っていたのにさらに緊縮せよというのだから、ギリシア人が怒るのも当り前だ。…勤勉なドイツ人はギリシア人を怠惰と言うが、そんなことは承知の上でユーロ圈に入れたはずだ。ギリシャなど南欧の経済不振国のおかげでユーロ安が続き、ドイツは輸出でボロ儲けしている。その上、EU内には無関税で輸出できるという特権まである。欧州でほとんど唯一の先進工業国であるドイツ、…ユーロはドイツに極端に有利なシステムである。輸出競争力のない南欧の犠牲の下でドイツだけが栄える不公正なシステムとさえ言ってよいだろう。…いかにも親切そうな資金援助を口にしながらの生かさず殺さずのギリシアいじめは、他の南欧諸国への牽制にもなるから今後も長く続くのだろう。 藤原正彦氏のエッセー「管見妄語」(週刊新潮)

...ギリシャ危機の最大の教訓は、もともと無理のあったユーロ加盟にこだわっても、国民の苦痛が長引くだけだったという事実にあるのかもしれない。たとえ破局に見舞われようとも、賃金や為替など、主立った指標が自然な水準に落ち着けば、そこから必ず新しい成長が始まるのである。(世界屈指の観光資源である)パルテノンもエーゲ海もそのままだ。財政破綻とユーロ脱退の粉塵がおさまった後には、格安観光地となったギリシャは、世界中からのお客さんで溢れるようになるだろう。企業の場合と同じく、破綻は再生への第一歩なのである。 徳川家広氏の論考「財政破綻は飛躍への序曲か」(プレジデント)

 世界史上、人類史上に見ても、多くの偉人聖人を輩出したギリシャ人ですので、上手い着地点が見つかることを期待しています。

公認会計士 黒 沼 憲


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