223号(201604) リストに戻る

勝ち組の理由

 先頃、シャープと台湾の電子機器受託製造大手のホンファイ精密工業との間の(買収)交渉は、紆余曲折を経てようやく正式合意に至りました。お茶の間ニュース解説では、"製造受託(部品製造と組立)では世界的企業のホンファイ社という花婿候補のアプローチ(結納金3千9百億円+熱烈求愛)が、いわゆるオールニッポンで取り組もうとした官民ファンドの「産業革新機構」のアプローチ(結納金3千億円)に勝った結果"、"頭脳明晰で考えるタイプのシャープと、気力体力も旺盛な体育会系のホンファイは理想のカップルになる可能性大"と報じていました。
 ところで、かつて世界を席巻した日本の電機メーカーの現状は、三洋電機はとうに消えて無くなり、シャープは買収価格も値切られながらの台湾企業の傘下入り、東芝に至っては、粉飾決算が明るみに出て一時上場廃止の危機に直面したほど、体力の消耗ぶりが否めません。ソニー、パナソニックは回復基調にあると報道されていますが、かつての勢いはないように見えます。このような"受難の時代"が続く日本の電機メーカーにあって、業界の「勝ち組」といわれる三菱電機・日立製作所の健闘ぶりは、業界の今後を見据えるためにも大いに注目されます。

 三菱電機の創業が1921年、日立製作所は1910年。両社とも、さまざまな苦難や危機を乗り越えてきた、…総合電機メーカーの老舗としてのしたたかさを秘める。今期の三菱電機の業績予想は、過去最高になる見通し。(役員23人全員が1億円越えの報酬を受け取り、他社の羨望の的にもなっている。)同社は早々にパソコンや半導体から撤退し、BtoB事業(企業間取引)に経営資源を集中させ主力事業は、エレベーターなどのビルシステム、鉄道運行システム、宇宙開発、自動車関連部品など。「21世紀はコンピューターと半導体の時代」と力を入れた時期があったが、うまく行かずに撤退した。携帯電話事業も競争が激化した08年に逸早く撤退している。構造不況業種への見切りが早かった。
 一方、日立製作所も業績はすこぶる好調のようだ。同社も、09年代のバブル崩壊以降、業績不振が長期に渡り、リストラや資産売却を進めた。一時期、国内製造業で過去最大となる8千億円近い最終赤字を計上したことも。三菱同様、競争が激化する一方の半導体や液晶テレビなどの不採算事業から撤退し、子会社の完全分離を進めると共に、本体は情報通信と産業・社会インフラ事業に集中させて業績を回復させた。三菱と日立の業績回復は、ビジネスでは何も時の花形産業を続けることが正しいわけではなく、撤退する勇気や、地味でも利益率の高い分野に集中することが重要だと教えてくれている。(週刊文春連載「辻野晃一郎のビジネス進化論」)

 "シャープ問題は一企業の問題でない!日本の電機産業全体(競争力低下)の問題だ!"と真摯に受け止める必要がありそうです。

公認会計士 黒 沼  憲


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