225号(201606) リストに戻る

パナマ文書(タックスヘイブン問題)

 G7伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)は5月27日、世界経済の将来的な下方リスクに警戒感を示し、各国が可能な限りの政策を総動員することなどを盛り込んだ首脳宣言を採択して閉幕しました。G7終了後の「オバマ大統領の『広島訪問』」の方に関心や注目が集まり、主要国間での当面の諸問題で協調を確認したが、中露抜きの首脳会議ならではの予定調和的な感がいたしました。それでも、公式声明にはない"首脳たちの本音トーク"に重要な意義があったのでしょう!
 さて、今回のG7でも協議された「パナマ文書」問題について、国内でも"日本から数百兆円が海外に流れ、日本の大企業や個人が納めるべき税金がスルーされてしまっている!倫理的に問題あり!一般の納税者は不公平感を抱いている!等大きな話題となっています。税の専門家でもないコメンテーター等が煽っているのも一因ようですので、会計士の立場で整理して、若干コメントしてみたいと思います。ご承知の通り「パナマ文書」とは、中米パナマの法律事務所から流出した顧客リストで、タックスヘイブン《租税回避地》を利用して、世界中の企業や個人が"資産隠し""脱税""過度な節税"を行っているかのごとき驚愕の機密資料と報じられています。しかし、"タックスヘイブンの利用"といっても、どこ国のどういった立場の人が、何を目的に利用したのかによってその評価は大きく変わってくると思われますので、次のような3のケースで考えてみたいと思います。

  1.  インパクトが大きい、中国やロシアなど独裁政権の指導者による資産隠匿に利用される場合です。独裁政権の指導者は基本的に自国の体制を信用していないことから、政変を警戒し、タックスヘイブンに資産を隠匿しているらしく、他国の話としても、"問題あり!!"のケースです。
  2. 欧米の民主国家においても、企業や個人がタックスヘイブンを活用して合法的に税金逃れを行っている場合です。アマゾンやグーグルなど、グローバルに活動する企業の中には、税金の安い地域に意図的に利益を集中させ、本国での課税を少なくしていたり、グローバルに活動するビジネスマンも、国外での報酬をタックスヘイブンに逃がしているケースも多いといわれています。"当該国の租税政策の問題!"です。
  3. 多くの日本人や日本企業は、所得の源泉がほとんど国内にあることや、金融取引はすべて当局の厳しい管理下にあり、当局に把握されない形で資金や所得を海外へ移転することは不可能に近く、1、2の目的でのタックスヘイブン利用は少ないと思われます。実際に国際的な金融取引や不動産取引の中継地点として利用されるケースがほとんどで、当たり前のビジネス活動の一環というこということもでき、"国際租税条約の下での許容範囲内の節税策"といえます。

 そうであれば、パナマ文書で取り沙汰されている日本人・日本企業に対する評価のポイントは、タックスヘイブンの利用そのものではなく、虚偽の申告の有無だと思われます。

公認会計士 黒 沼  憲


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