238号(201707) リストに戻る

財政の健全化は果たせるか

 3月期決算クライアントの対応で最も忙しい時期も、先月末までの株主総会・税務申告も無事に完了して、安堵しているこの頃です。マスコミ報道によれば、上場企業の今年3月期業績は前期よりも円高水準にあり、世界的な景況感の改善も後押しし、全体で7期ぶりの減収になるものの、2期ぶりに最高益を更新しそうだといわれています。
 さて、英EU離脱、トランプ政権誕生、そして迫り来る極東有事。いまやこれまでの常識は完全に無意味化している、先の読めない「理不尽」な世界で、次にいったい何が起こるのか?こんな時代にも「なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか」と題する高橋洋一氏の新刊を読んでみました。"国際情勢も、日本経済も、内政も、高橋節が炸裂する最強の一冊"のふれこみ通り、悲観論を撒き散らすマスコミ、学者、評論家たちの俗説を、お得意の数値で証明しながら一刀両断した秀作でした。中でも、第3章「日本経済悲観論を完全に論破する」"日本の借金1000兆円の大嘘"は、会計が専門の私をも唸らせる論考でした。…ここ10年以上も繰り返し「日本国には膨大な借金がある」「そのツケを子供に回してはいけない」と声高に左派マスコミ・財務省の御用学者の言論に騙されてきた感がある。日本の財政はそれほど脆弱ではなく、ギリシャの借金と同列に論ずべきものではない!… シンプルに解説すれば、たとえば住宅ローンが1000万円残っていて、資産が800万円あり、なおかつ生活に困らないだけの収入が見込まれる世帯は、破産寸前といえるのか。この説明だけで、稚拙なカラクリは論破できるという。(皆様の会社のにあっても決算書の中の「貸借対照表」には、左側に資産、右側に借金が記載されていますが、左右の「バランス」によって、企業の経営状態が判断できます。)…さらに例えれば、銀行は預金量を誇らしげに語るが、預金は銀行の負債であり、借金である。一般にはこれが大きいほど大銀行なので、大きいほど危ないとは思わないはずだ。つまり、「借金1000兆円」というのは、国のバランスシートの右側だけを示す数字である。この説明は、左側の資産を墨で黒く塗りつぶして、バランスシートを示しているのと同じことだ。但し、20年前の政府の借金は、400兆円程度であったので、2倍以上に膨らんだが、何故膨らんだかを考えることが重要で、それには日本政府には世界でもトップクラスの莫大な資産があり、政策の実現のために安心して借金ができたと云う事を押さえておかねばならない、と…。

日本国のバランスシート(2014年基準)

・現預金
・有価証券
・貸付金
・出資金
・有形固定資産
・運用預託金
28兆円
139兆円
138兆円
70兆円
180兆円
104兆円
・公債
・政府短期証券
・借入金
・公的年金預り金
・その他
885兆円
99兆円
29兆円
114兆円
45兆円
資産計 680兆円
借金計 1,172兆円

・「ほんとうの借金」492兆円(「日銀を連結したほんとうの借金」100兆円)

 筆者の指摘の中で私が最もガッテンしたのは、日本の実質GNP526兆円であり、借金以上の価値を日本の産業は生み出している「稼げる国」であること。さらには、政府が持っている、国民や企業から強制的に税金を徴収できる徴税権は、実質的な資産といえる。毎年40兆円以上の税収がある日本では、割引率5%として資産価値を計算すれば800兆円にもなり、日本の財政は「資産超過の状態」である…。改めて、政治の大事さと日本経済の活性が財政健全に不可欠と思い知ったところでありました。

公認会計士 黒 沼  憲


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