241号(201710) リストに戻る

日本の産業構造と電気自動車

 トヨタ自動車とマツダは、幅広い分野で業務提携を目指して資本提携にまで踏み切りました。狙いは、電気自動車(EV)の開発での協力です。トヨタ自動車は、いち早くガソリンと電気モーターで動くハイブリッド車(HV)を量産して市場への投入も果たしましたが、EVにも力を入れ2020年メドに量産体制の整備に向かおうとしています。 背景には、世界的に環境規制が高まる中で、走行時に二酸化炭素を排出しない車に対する多様なニーズが強まっていることがあります。今年7月、フランスとイギリスは、2040年以降のガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する政策を発表しましたし、中国でも、同様の措置を検討しているようです。しかも、優遇を受けるエコカーの対象から、日本メーカー(筆頭はトヨタ)が得意とするHVを外すことになりそうです。とりわけ、中国がEVに力を注ぐ背景には、ガソリン車やHVで先を進んでいる日本や欧米のメーカーになかなか追いつけそうになく、戦う土俵をEVに変えることで、国際競争力を強化しようという思惑があると言われます。 各国のメーカーも、そうした事態も想定し、EVシフトの方針を打ち出し、各社の戦略もほぼ出そろった感があります。独フォルクスワーゲンは、2025年までに、EVを50車種投入すると発表し、独メルセデス・ベンツもすべての車種を、2022年までにEVやHVなど、電気で走る車にする計画のようです。国内メーカーでも、EVシフトでトヨタに先行していると言われる日産自動車グループも、2022年までに、新たに12車種発売すると発表しました。ところでEV時代は、すぐそこまで来ているという印象がありますが、実際に広く普及するまでには、まだ多くの課題が残ってそうです。@充電施設などのインフラの整備A基幹部品である電池の開発や調達の問題(バッテリーの容量アップのための巨額の設備投資)B動力の電気を生み出す電力会社での二酸化炭素の排出の抑制などです。(なお、あるシンクタンクの予想では、20年のEVの販売比率は世界で1.3%、25年でも2.2%にとどまると見ていますが...)
 そんな時、先日の山形新聞に載った"自動車の戦略転換急げ(金子勝 慶応大教授)"の論考は注目すべきものでした。 「…ここ数力月で自動車でも大転換が起きている。 …EV転換の背景には、リチウムイオン電池の価格下落がある。…EVは従来の自動車と比べて部品点数が大幅に減ると考えられる。…日産自動車がEVのリーフを出しているものの、トヨタ自動車もホンダもEVで出遅れている。…これまでトヨタを筆頭に日本の自動車産業は優れた部品工業のサプライチェーン(供給網)を有し、すり合わせ技術によって高品質な製品を作ってきた。経産省(トヨタも?)が固執する燃料電池車なら、確かにその強みを生かせる。だがEVではそれが足かせになる。EVへの対応を急がないと、業界全体が沈みかねない。IT革命に遅れて電機産業が低迷し、これで自動車産業まで失えば、日本に一体何か残るというのか。これ以上のガラパゴス化を避けるには、自動車の戦略転換を急がねばならない。」
 すそ野が広いといわれる自動車産業にかかわる山形の地場産業にも、変革を迫る波が押し寄せるのではと憂慮しています。

公認会計士 黒 沼  憲


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