131号(200808) リストに戻る

教育は人生を変える

 唐突ですが、「潮目が変わった。たった半年や一年でこれだけ変わるとは思わなかった…」とは、トヨタ自動車の渡辺社長のある記者会見の言葉でしたが、今年度の流行語大賞にもなりそうな、最近の混迷する世界経済を表現するに足る名言ではないでしょうか。
 自動車業界に限らず、あらゆる業種を取巻く環境は、米国の景気後退・原油高・食糧危機などの影響をもろに受け、大変厳しい状況にあります。
 今年の3月期決算までは比較的順調だったのに、急に4月5月6月は大幅受注減となっておられる会社が多いようです。このままでは、"秋口から景気は改善する"との分析もあるようですが、果たして期待通りにテーク・オフできるか心配です…。
 オリンピックが開催されている中国も、これまでは「改革開放政策による好調な経済」「世界の工場としての雇用機会の爆発的増大」などで、時代の寵児と驚嘆されてきましたが、国内政治(多民族国家なるが故の不安定さ・猛烈な格差の存在と弊害)や環境問題などで、曲がり角に来ているようです。中国の為政者たちも「潮目が変わった…」と感じているに違いありません。
 そのような中、北京オリンピックの開幕前夜といえる先月の5日から1週間、北京周辺と内モンゴル自治区のフフホトに行ってまいりました。上甲晃先生とご一緒する中国現地研修の「中国理解講座」も今回で8回目となりますが、今年は、現地を訪れ、直にその緊迫状況を共有しながら、「今日的中国教育の諸問題」に向き合う講座で、これまでの7回の旅と同様に充実したものでした。
 テーマであった「中国の教育事情」、なかんずく「日中の時間的比較考察」、「中国における経済的・地域的な格差問題」等を、中国の斯界の権威である先生方の講話を拝聴し、教育現場を視察して、理解を深めることが出来ました。
 私は5回目の参加でしたが、それでも「確実に・着実に中国通の一人になれた…」と実感できた充実の旅行でした。
 北京教育科学研究所の先生の「教育は、人(間)の人生(そのもの)をも変える…」という言葉は、私も常に実感してきたところでありましたので、そのフレーズが頭から離れないほど、「教育問題の重要性」を意識し続けた一週間でもありました。
 圧巻は、日本では「草原のラーゲリ」(細川呉港 著)という小説で知られ、人生の大半をラーゲリ(監獄)で過ごされた不屈のモンゴル系教育者・愛国者のソヨルシャブ先生から、「一つの民族が、きちんと自立できるか否かの鍵は、教育である…そして教育の基本は言葉である…。そのために日本語専修学校を立ち上げた…。」と、教育の大切さを日本人以上の見事な日本語での講話は、存命されていた小説の中の主人公に遭遇できた感激とともに、永く記憶に残しておきたいと思っております。
 間近に迫ったオリンピック開催に沸立つ同じ北京市内にあって、戸籍を持たない「農民工」のための(私設の)子弟学校が存在する一方で、下校時刻になると迎えに来る教育ママたちの高級外車が長蛇の列を作り、警察沙汰にもなっているという有名進学校もあるほどの、異常なまでの「教育熱」と「教育格差」の実態をも目の当りにしてまいりました。

平成20年8月10日
公認会計士 黒 沼 憲


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