134号(200811) リストに戻る

CHANGE(チェンジ=変革)

 数日前の各全国紙はトップで「トヨタ自動車73%減益予想」を報じたが、このところの景気減速が世界の消費を一気に冷え込ませている象徴的な事象といえましょう。
 かつてこの欄でも、トヨタ自動車の渡辺社長の「潮目は変わった」との発言(流行語大賞的名言)をご紹介しましたが、今年度の下半期の営業損益が1125億円の赤字転落を発表した際、担当副社長は「いまだかつて経験していない厳しい現状だ」と切実な感想を述べておりました。今や世界一の自動車メーカーとなったトヨタでも、米金融危機を発端にする欧米での販売不振に加え、急激な円高の直撃を受けた結果1兆円規模の利益が吹っ飛んでしまったということです。
(余談ですが、同社はここ13年連続で全企業トップの広告宣伝費を使ってきたそうですが、今年は3割カットの方針を打ち出しているといわれます。金額で300億円の広告宣伝費の削減は、読売・朝日新聞社の年間利益が50〜60億円といわれますから、計算上、全国紙すべての利益が吹き飛ぶ金額です。)
 ハイブリッド車などのエコカーでも圧倒的な強みを発揮している同社は、加えて抜群の財務的健全性を誇っておりますので、経営危機の心配はありませんが、全国の自動車関連業種企業への影響が懸念されています。
 さて、米大統領選挙はオバマ上院議員の圧勝で決まってしまいました。建国史上初のアフリカ系(黒人)の大統領が誕生しますが、米国民の選択の本質は、イラク戦争の長期化に加えての金融危機といった「現状の拒否」であり、「変革」を求めたことにありそうです。
 それにしましても、上院議員の一期目半ばで一躍民主党の大統領候補になり、本選も圧勝してしまうオバマ氏は、「政治家に言葉を求め、言葉を楽しむ」といわれる米国の民衆が待望する「雄弁なリーダー」であったということでしょうか。
 ところで、今回の世界的な株価の急落を受けて、日本政府は保有株売却の一時凍結や株式の空売り規制強化、自社株買いの条件緩和を柱とする金融市場安定化策を打ち出し、更に銀行保有株の買い取りという緊急避難的政策も検討しているようです。これらのスキームは、株安が金融機関の収益悪化や自己資本比率低下を招き、貸し渋りに繋がりかねないとの政策的配慮から出たものです。そして、日本の企業会計法においても、英米主導で導入した時価会計を早くも見直して、金融機関が保有する有価証券の評価を市場から遮断して自己資本比率の悪化を避けさせようと懸命になっています。
 一企業が会計基準を勝手に変更すれば「粉飾」といわれますが、政策的に業界全部での変更は、「適正なるもの」と認められます(赤信号 皆で渡れば恐くない?)。我が県をはじめ東北地方全般の景況は久しく芳しくありません。各金融機関におかれましては、「地域の経済活動を支える体力」を常に持ち続けていただき、企業の金融支援を切にご期待いたします。

平成20年11月10日
公認会計士 黒 沼  憲


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