169号(201110) リストに戻る

論語に学ぶ

 私共の事務所では、毎朝、朝礼の中に「論語」の素読を取り入れています。背筋をピンと伸ばし、大きな声で斉唱します。「論語」は、皆様もご存知のとおり、孔子と彼の高弟たちの言行を孔子の死後、弟子たちが記録した書物で、日本人が最初に手にした古典だといわれています。
 会社の朝礼などだけでなく、最近では「論語」の音読や暗誦を学校教育に取り入れる動きが全国で広まっているようです。(2011年度からの新学習指導要綱でも、「伝統的な言語文化」を重視することとなり、内外の古典を学習する時間が増えそうです。)幼稚園からも論語を素読する元気な声が聞こえてくるなど、日本でもちょっとした論語ブームとなっています。
 論語を生んだ中国も、論語のエキスともいえる「忠恕(ちゅうじょ)の心」(嘘をつかない!思いやりを持つ!)は日本以上に薄れてきているようで、孔子の教えの道徳観とは真逆の驚くようなニュースが多々報じられています。今、一人ひとりが人間らしさを取り戻すため、宗教としてではなく、精神の文化文明の源として、先人の言葉を謙虚に学び直す必要があると考えます。

 ところで、"日本人気質の良し悪し"に関する感銘深い論考(文芸春秋10月号「痛み分けの良し悪し」坂根正弘コマツ会長)がありましたのでご紹介いたします。

 震災直後、日本を取材に訪れたアメリカのあるテレビ局の女性記者は、二つのことに非常に驚いたそうだ。ひとつは、あれだけ多くの被災者が避難所に暮らし混乱が続いていたにもかかわらず、ゴミの分別がきちんと行われていたこと。もう一つは、炊き出しに長蛇の列ができた時、赤ん坊を抱いた女性が後方にいたのに、誰も順番を譲ろうとしなかったことだという。
 前者に象徴される日本人のまじめさは世界に誇るべき美質だろう。後者は日本でよく見かけることではあるが、欧米人にとっては異様に映る。
企業経営の分野でも同じように、日本の強みと弱みを正確に把握することが大切だと思う。現場の労働者の質の高さ、チームワークのよさが日本の強みだとつとに指摘されてきた。反面、和を重んじ、一部の人たちの犠牲を覚悟することに躊躇して決断力に欠け、リーダーシップが育ちにくいという批判もよく耳にする。
 私自身の経験であるが、アメリカの合弁会社の二代目社長として赴任した際のこと・・・不況で、不採算の工場をいくつか閉鎖することにした。全員で痛みを分かち合う日本流で、五ヵ月間工場の操業をストップするが、その間も給与の75%を支払うという決断をくだした。すると古手のアメリカ人社員からは「仕事をしていないのに、給料だけもらうなんておかしい。入社の新しい人からレイオフ(解雇)して我々に仕事をさせるべきだ」
 アメリカ人には労働の対価でないお金を受け取ることは恥ずかしい、という価値観が浸透していて、親は自分の子供に対しても、何か必ず家の仕事を手伝わせた上でないとこづかいは渡さない。そこで折衷案として、工場の操業を休む間は、社員全員で工場の草むしりや、近隣の学校のペンキ塗りをしてもらうことにした。
 解雇を避けたことで、アメリカ人社員との間に信頼関係を築くことができたという点ではプラスだった。一方で、その後アメリカの景気が回復した局面でも、「レイオフしない方針を示してしまった以上、増産のために人を新たに雇えば、再び不況になった時に困る」という足かせが生じてしまったのである。素直にアメリカ流のレイオフをやっていた方が、かえって工場や地域経済の活性化につながったのではないか、と私自身、今は感じている。
 (先の)テレビ記者の話になぞらえれば、
ゴミの分別をきっちりやるまじめさと、行列のルールよりも赤ん坊を抱いた母親を大事にする、臨機応変さを両立させるといったことだろうか。グローバル社会においては、合理主義と人間へのやさしさを常に秤にかけながら、難しい判断が求められる。

■改めて日本人気質の長短を気付かせていただいた次第でした。

平成23年10月10日
公認会計士 黒 沼  憲


「日本を美しくする会・被災地支援活動」9月24日

前号の掲載報告をご覧いただいた方から、9名の初参加をいただき、その中よりお二人にご寄稿いただきました。

 隣県に住む者として何とかお役に立ちたいという思いでおりましたが、この度黒沼さんのお計らいで初めてボランティアに参加することが出来ました。到着した牡鹿半島の鮎川地区、中心部から奥に入っていることもあってか現場はほぼ手つかずの状態、打ち上げられたままの漁船や、津波に襲われた時のままと思われるアパートや家々、草はらだと思っていたところは家が流され土台だけが残った住宅の跡地、海水を吸い込んだ杉の木立は見るも無残に赤茶けて枯れていました。まさに惨状としか言いようのない光景がそこには広がっていましたが、やりきれない気持ちになりました。抜けるような秋晴れの下に何事も無かったように広がる穏やかな海……。本来であれば金華山詣でや観光客で賑わっていた筈なのに。激震、津波、はては台風や洪水と、この地区を自然の猛威は翻弄しました。大阪からの人たちと我々のグループで汚泥が入り込んだ住宅を綺麗にすべく作業にあたりましたが、泥に埋もれた畳や家具、泥を吸い込んだ布団や衣類等々……、持ち主の人達は茫然自失の感があり、口数も少なく痛手の深さを痛感しました。作業が終了し全員で挨拶をした時の、家主のお顔の表情が心に残りました。
 帰りに通った女川町!ここは正に地獄でしたし、太陽が没した後の渡波地区は建物が黒く浮き上がり、人の気配も明かりも全くない無残な状態でした。こんな中、全国からツアーで身銭を切ってボランティアに参加する人達の多さに感動すると同時に、全国の会社に割り当てて社員5%をボランティアに参加させてはどうなんだという途方もない考えも浮かんだのでした。素晴らしい日本人を取り戻すためにも。我がチームのドライバー鈴木尚さんは、春日部ナンバーでパンクに苦悩する老夫婦を助けるという善行。今日の疲れもすがすがしいものとなりました。

おやじ日本山形 代表 和田 英光 様

 今日、9月24日、何か導かれるようにここ、宮城県石巻市鮎川浜に私はいます。全国から集いしボランティアの面々、その中で何と若者の多いこと。やや時が経ち、作業場所に向かう途中、目に入ったのは、建物がない剥き出しのコンクリート基礎部分、遥か遠方まで点在している光景でありました。その中に半壊したブロック塀の門柱に刻標されたお名前をみつけ、やりきれない悲しみとやり場のない怒りを覚えました。以前ある方がいっておられた「過去とはまさに過ぎ去ったこと、未来はまだ生まれない、そして現在はただ活動あるのみ」と。帰りのバスの車窓からまぶしい夕陽の日差しと共に、無数のすすきの白綿が舞っておりました。もうじき寒い季節がやってきます。願わくば暖冬であれと心より願うばかりであります。そして再会を誓って。

両羽不動産株式会社 代表取締役社長 寺山 実 様


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