180号(201209) リストに戻る

がれきを利用した「森の防波堤」プロジェクト

〜未来のふるさと創り・「海べの森をつくろう会」〜

本年度の「志ネットワーク青年塾サマーセミナー」(上甲晃先生主宰)は、8月24日から三日間、東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼市と陸前高田市で開催されました。
参加者は、青年塾生142名と私を含めた志ネットワーク会員37名と、これまでにない盛会となりました。若い青年塾生の集いにふさわしく、今回は宮城県庁で松下政経塾出身の村井宮城県知事から現在の復興状況の講話と訓辞をいただき、石巻市、南三陸町を廻って気仙沼に入りました。
強烈な地震、大津波、大火災の中、住民の皆さんは何を考えどう行動したかを、実際の避難所でお話を伺ったり、地域の方々を訪問したりして、被災者の方たちの「復興・新生にかける志」を学ぶことがこの度のセミナーのテーマでした。
皆さんもご承知の通り被災地は瓦礫の片づけは終わりましたが、「残された瓦礫の山」の処理が大きな社会問題となっています。
その中で、被災地ではほとんどの防波堤が崩壊したため、新たな防波堤はこれまでより高いものを造ることが計画されています。しかし、海とともに共生してきた地域の人々の多くは、「高いコンクリートの防波堤」に疑問と危機感を募らせているとのことでした。
私達が訪問した気仙沼の階上(はしがみ)地区は、岬の突端にあり、明治29年の大震災では、住民の実に8割が津波で亡くなったところでした。
地域の人たちはこれを教訓として、当時の津波から免れた高台に避難所を作り、備えていました。しかし、今回の大津波は、その避難所に集まった人たちを飲み込んだのでした。地域の住民を助けるはずの避難所が、一番多くの犠牲者を出す場所になってしまったのです。
そこでこの階上の人たちは、今年の5月、「緑の防波堤」運動の提唱者、宮脇昭先生を招き勉強会を開き、「海べの森をつくろう会」の活動(木を植える活動)を始めたとのことでした。

海べの森をつくろう会

私たち【海べの森をつくろう会】は、被災地が次の世代へ継承できる自然豊かな故郷として、自然と共生し活用した未来を創造する必要性が有ることを認識し、故郷の永続的発展と後世に継承する財産と文化の形成を目的としています。
被災により失われた自然環境を回復させ、今後、起こり得る災害を軽減する為、又、震災により失われた暮らす人々の生業を創出する事を目的とした事業として、被災地に植樹活動を柱とした活動を実行しています。(以下省略・入会申込書より)

今回、私達セミナー参加者には宮脇昭先生の『瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る』が課題図書(他に吉村昭著『三陸大津波』)に指定されておりましたので、プロフィールは存じておりましたが、83才になられる宮脇先生は会場に集まった誰よりも熱い思いを込めて語られました。

『今回の東日本大震災においても、大量の災害がれきが生じ、いわゆるがれき処理が大きな問題となっている。この大量のがれきを、地球資源として土と混ぜながら、できるだけ現場で、危機をチャンスととらえて森に変える。それは鎮魂の墓標であると同時に豊かな明日の発展と、世界に誇る地域固有の景観づくりであり、そして今後の生活を守るいのちの森づくりのためにこそ、このがれきを使い切るべきである。この「森の防波堤」は、従来工法の防潮堤に比べて安上がりで簡単につくれ、基本的に維持管理費は不要で、地域固有の緑豊かな世界に誇れる景観となる。コンリート造りの耐用年数は50〜60年といわれ、定期的に造り直さなければならず、高さ20メートル以上の防潮堤を建設するとなれば莫大な費用がかかり、景観も損なわれる。今後も必ず襲うであろう自然の揺り戻し、脅威に対して、私たちはしっかりと目を見開き、未来志向で賢い対応をする必要がある。できれば、超法規的に今すぐ、できるところから国家プロジェクト、国民運動として防潮・防波の森をつくるべきである。・・・がれきは地球資源であり、危機はチャンスである!このいのちの森づくりを、東日本大震災の被災地から世界に発信していこうではないか!』

私は素直に、大いに感銘を受けたのでした。

平成24年9月10日
黒沼範子

宮脇昭氏プロフィール
横浜国立大学名誉教授、IGES国際生態学センター長。世界各地で植樹を推進する現場主義の植物生態学者として、これまで国内外1,700ヶ所以上で植樹指導し、4,000万本以上の木を植えている。新日鐵、イオンなど企業と連携した植林活動も多く手がけている。
"森"が津波から人を守る防波堤になり、震災でできた瓦礫を地盤とした「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」の提唱者でもある。「危機をチャンス」に変える為、被災地から世界に「いのちの森づくり」を発信する。

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